宝林寺では、報恩講に欠かせないクロマツを使った仏華を、檀信徒の皆さんの中から仏華の専任の方を選んで作業をお願いしています。
花材のクロマツは、私(知見)が子どもの頃は、専任の方が豊田や額田の山までトラックで採集に行っていただいていたようですが、だんだん開発や宅地化が進み程度のよいクロマツが手に入りにくくなってきました。そこで最近は境内のクロマツを剪定したものを加工して用いるようになりました。
仏華を立てる作業は、毎年10月30日ごろ報恩講に間に合うように庭師さんに境内の庭木の剪定をしていただくところから始まります。玄関横に植わっている、樹齢200年くらいにはなりそうな古いクロマツを剪定していただき、下に落とされた松葉の穂を集めます。なぜこの古いクロマツを用いるかというと、松葉の長さが短く、仏華に仕立てたた時に見栄えがいいからだそうです。それを専任の皆さんが、それぞれ自宅に持ち帰り、松葉の穂を細い枝に幾つも挿していくという根気のいる作業に10日前後を費やします。
後半は報恩講の初日に合わせ、三日間ほど本堂に詰めて、各自が家で作ってきた枝を組んで仕上げをします。電動ドリルやノコギリなどを使う作業は花を生けるというよりも、大工仕事に近いものがあります。
打敷(うちしき)を掛けて仏華を前卓(まえじょく)に載せ、世話方の皆さんに作っていただいた須弥盛華束(しゅみもりけそく)を飾って報恩講のお荘厳が完成します。
中尊前①
中尊前② 通常のお荘厳(おかざり)では、花瓶(かひん)と燭台が一つずつの三具足(みつぐそく)ですが、報恩講や御遠忌など重い法要では花瓶と燭台を二つずつ用いた五具足(ごくそく)でお荘厳します。花瓶も耳付きのものを用います。
祖師前
御代前
南余間
北余間